2013 10月 映画生活MEMO
本日は ハロウィンである。
このイベント・・いきなり浸透したような気がする。 理由はコスプレ?かなあ・・無条件に気分上昇だからして・・
我が家も大慌てでお菓子を用意して、こどもたちの訪問を待つ。
息子のコスチューム、これも大慌てで、マントとシャツをダダッと縫った。(笑)
女の子たちのファッショナブルな事! 良く知りもせずに参加している昭和生まれのおばさんです。(笑)
マーサ、あるいはマーシー・メイ 2011米 監督ショーン・ダーキン 75点
孤独だったマーサは、山の上にあるカルト集団に家族の愛情を求め入信、マーシー・メイという新しい名で共同生活を送っていた。し
かし2年後の20歳の夏、彼女はひとりでコミューンから脱走、今は唯一の家族である姉夫婦の湖畔の別荘に身を寄せている。だが カルト集団の記憶がよみがえり、現実の世界を少しずつ侵してゆく……。
カルト教団のコミューンから脱走したものの マインドコントロールの呪縛から抜け出せない女と 妹を一人にしてしまった自責の念から抜け出せない女 姉妹の物語。カルト教団の信者は 口をそろえて自分の意思でここにいるのだと言う。好きでいるのだから何故悪い?と・・孤独に傷ついた人間を絶対的肯定と それを否定する飴とムチで支配する卑劣な集団。自給自足の穏やかな生活とはうわべだけで 信者の財産を奪いその上強盗まで・・ 疑念を打ち消し二年も生活したマーサだが始めて消えない疑問にぶち当たる。普通の生活が出来ない妹に 姉は戸惑う。マーサからはこれまでの生活は語られないのだから。サスペンス・・というよりは カルト信者の在り様?を描いた作品だった。それでも人生は続く・・光は最後まで見えなかったけど。
ヒッチコック 2012米 監督サーシャ・ガバシ 75点
1959年、作品の高評価とは裏腹に監督としてはアカデミー賞に縁遠かったアルフレッド・ヒッチコックは、『サイコ』の製作に着手。しかし独創的かつ奇抜であるがゆえに資金繰りは難航し、数々の困難に見舞われてしまう。さらに、常に彼を支え
続けてきた最大の理解者である妻アルマとの関係までほころびが生じてきて……。
予
想を上回り 面白い作品だった。 「サイコ」の裏話だけでもかなり興味深いものがあるが 熟年夫婦の間の 小さな波紋も 実にねっちりと描かれていたので
はないか・・・若い男女なら美しいエピソードも長年連れ添った夫婦ともなれば 好きだ嫌いだ だけではない葛藤も身につまされる物がある。 ヒッチはかな
り面倒くさい男だけど 素直だなあ・・とは思う。(笑)とにかく主役の2人の安定感のある演技・・観る価値はあり。
偽りなき者 2012デンマーク 監督 トマス・ビンターベア 80点
離婚と失業の試練を乗り越え、幼稚園の教師という職に就いたルーカスは、ようやく穏やかな日常を取り戻した。しかしある日、親友テ
オの娘クララの作り話によって、ルーカスは変質者の烙印を押されてしまう。幼いクララの証言を、町の住
人のみならず、親友だと思っていたテオまでもが信じて疑わなかった。無実を証明できる手立てのないルーカスの言葉に、耳を貸す者はいない。仕事も親友も信
用も失ったルーカスは・・・
こ
の監督の作品を観終えると いつも少し心が重くなる。本作のテーマ「冤罪」についても最初からとうとうラストまで それは続くのである。 どちらかといえ
ばイヤーな気持ちなのに「良い映画を観たなあ・・」という充実感。忘れ得ない存在感。主演俳優の鬱っぽい表情も深く心に刻まれる。「悪意」の所在・・それ
についてずっと思い馳せている。誰にでもあるということは認めるけれど 不意に溢れ出て コントロールが出来ない。可愛い子供と言えどもそれは 人一人分
同量なのである。本作の恐怖は 自分が いつこの悪意の餌食になるかもしれない事、そして 自分がこの餌食を目の前にして悪意を持たないと言い切れない事
である。ああ・・怖い。幽霊より呪いより 生身の人間ほど怖いものはない。
グレン・グールド天才ピアニストの愛と孤独 2011カナダ 80点
1932年、グレン・グールドはカナダのトロントで誕生。3歳から母親にピアノの指導を受けた彼は、やがて1946年にピアニストとしてのデビューを果た
し、神童ともてはやされる。22歳のときにニューヨークデビューを飾り、完ぺきで独創的な演奏で聴衆を魅了した彼は、会場にいたコロンビア・レコードの重
役に気に入られ同社と契約する。
久しぶりのドキュメント・・そのスタイル、奇行から謎めいたイメージを持たれるグールド、しかし、あらゆる角度から(友人、スタッフ、学友、マネージャー、恋人、その子供たち)からインタヴューをとり構成する事で意外にも人間らしい不器用な部分が浮き彫りに・・
それにしても、若き日のグールド格好よすぎ!!そして人妻でありながら不倫関係となり,あっさり夫の元へ戻る画家 酷い女なのに格好よすぎ!天才とその周りはやはり一般人の常識はとるに足りない価値観なのかも・・グールドファンならずとも面白い作品です!
コズモポリス 2012 カナダ・フランス 監督デビット・クローネンバーグ 65点
巨万の富を手に入れたニューヨークの投資家のエリック・パッカー。白いリムジンの中で金を動かし、天国と地
獄が隣り合わせで一瞬先は闇という投資の世界に生きながら、一方ではセックスの快楽に夢中になっていた。しかし、エリックの背後に暗殺者の影が忍び寄る。
「戦
慄の絆」を新宿の狭い映画館で一人で観た時、私はクローネンバーグのファンになった。後味が恐ろしく悪くて・・(笑)でも しばらくはその世界から抜けら
れずかなりの満足感。若い女性ひとり・・というのも珍しかったと記憶している。続く裸のランチもますます変態に磨きがかかって まさにクローネンバーグの
黄金期だと 私は思っている。巨匠というポジションを獲得してからは なんとなく物足りなさを感じていたわけだが・・やっぱり本質は(笑)変わっていな
かったのね。ただ本作は駄目でした。構成は悪くない気がしたけど 舞台バリのセリフが懲りすぎてツマラナイ。(笑)いつもの笑わせるために作ったわけでは
ないのに笑える所。これがない。大金持ちでも空虚な彼の心の穴は深く感じ入る事が出来たのですが・・
華麗なるギャッツビー 2013米 監督 バズ・ラーマン 80点
ニックが暮らす家の隣に建つ、ぜいを凝らした宮殿のような豪邸。ニックは、そこで毎晩のように盛大なパーティーを開く若き大富豪
ジェイ・ギャツビーと言葉を交わす仲になる。どこからやって来たのか、いかにしてばく大な富を得たのか、なぜパーティーを開
催し続けるのか、日を追うごとに彼への疑問を大きく膨らませていくニック。やがて、名家の出身ながらも身寄りがないこと、戦争でさまざまな勲章を受けたこ
となどを明かされるが、ニックはこの話に疑念を持つ。
ロ
バートレッドフォードに勝るとも劣らぬ 久しぶりに美しいレオを観る事が出来 満足である。(笑)これでもか・・という位のゴージャス感は映画の醍醐味の
一つでもある。ストーリーは王道で ゴージャスの極みに笑ってしまう事もあったが エンターテーメントとしてもまずまずの出来である。 どうしても 表面
的な煌びやかさ圧倒され ギャッツビーの劣等感や、少年すぎるまっすぐな心根、あるいはストーカーに近い痛さ そしてニックの傷心がさらりと描かれる事に
なってしまった。キャリー・・上り詰めましたなあ。ミアも可愛かったけど。
時の重なる女 2009伊 監督ジョゼッペ・カポトンディ 75点
ホテルで客室係として働く外国移民のソニア。孤独な生活を送る彼女は、デートクラブでグイドという名の男性と出会って恋に落ち、以後デートを重
ねるようになる。元刑事で現在は警備員として働くグイドは、ある日ソニアを、目下彼が警備を担当している、主人が不在の郊外の豪邸へ招き入れるが、そこへ
覆面姿の強盗たちが押しかけてきて2人を急襲。グイドは撃たれて死亡、ソニアはからくも命を取り留めるのだが…。
ま
さかの夢オチ?を軽やかに裏切り 途中からは夢と現実の区別が微妙で サスペンスでありながら どこか浮遊感のある不思議な空気がある。 軸はグイドに惹
かれながら それでも過去を振り返らず生きてゆくソニアと 悪と知りながら彼女を許してしまうグイドのちょっと大人のラブストーリーである。所々、必要の
ないインパクトのある画が置かれ 疑問を持つものの・・これもおおいに 作品の印象を引き立てている事に気づく。 うーん。分かってはいても深読みしてし
まう・・監督のトラップなのだとは思うけど。(笑)
ハッシュ・パピー バスタブ島の少女 2012米 監督ベン・ザイトリン 70点
米ルイジアナ州の湿地帯に、世間から隔絶された「バスタブ」と呼ばれる小さなコミュニティーがあった。少女ハッシュパピーは毎日がお祭り騒ぎのようなバス
タブで気ままに生きていたが、ある日、大嵐が襲来したことをきっかけにバスタブは崩壊。さらに、父親のウィンクが重い病気にかかっていることを知ったハッ
シュパピーは、音信不通になって久しい母親を探しに外の世界へ足を踏み出していく。
ハッ
シュパピーの可愛さはいうまでもない。低予算で作られた作品との事だけど 世界の終わりの始まり・・言わんとせんことは感じられる。「クジラ島・・」のよ
うな神秘的なイメージを期待したが島自体が架空との事、なるほど・・そういう趣旨ではないのか(笑) 感想としては 価値観は人それぞれ・・良かれと思う
ことも必ずしも望まれた物ではないかもしれない・・という事。心に刻みましょう。という庶民的なものになってしまった。(笑)
千年の愉楽 2012邦 監督 若松孝二 70点
紀
州のとある路地。ここで産婆をしてきたオリュウノオバは最期の時を迎えている。オバの脳裏には、オバが誕生から死まで見つめ続けた男たちの
姿が浮かんでいた。美貌を持ちながらもその美貌を呪うかのように女たちに身を沈めていった半蔵。刹那に生き、自らの命を焼き尽くした三好。路地を離れ北の大地で一旗揚げようとするも夢破れた達男。あるがままに生きよと切
に祈り続けた。オバの祈りは時空を超え、路地を流れる……。
若
松作品にしては血まみれ・・エロティックが抑えめである。生き死にを淡々と見つめ、自然の景色の美しさをただ感じるところに 意識せずとも遺作なのだな
あ・・という気持ちが込み上げる。高良氏、高岡氏の美しさを改めて見せられ おおいに はしゃぐ気持ちもありだけど(笑)・・若松作品の男っぽさが中上健
二の女々しさで飽和状態になったような本作でした。どんな宿命を持って生まれても 所詮人は 生きて、死に。生きて死ぬ。を繰り返すだけなのだと思うと
少し気が楽になる私である。
ル・コルビジュの家 2009アルゼンチン 監督 80点
建築家ル・コルビュジエ設計の私邸 クルチェット邸に家族とともに住むデザイナーのレオナルドは、ある日、隣人のビクトルがハンマーで壁を破る音で目を覚
ます。驚いたレオナルドは話し合おうとするが、ビクトルは日当たりを少し良くしたいだけだと主張して聞かない。自宅をのぞかれそうな位置に大きな穴をあけ
たビクトルの行動や粗野な物言いに、レオナルドは脅威を感じ、次第にパニックに陥っていくが……。
予 想に反して なかなか面白い本作!スタイリッシュな家で ハイソな暮らしを夢見るスタイリッシュなデザイナーレオナルド。しかし、現実は強い奥さんに逆ら
えず、娘には相手にされず、女にももてない。その上隣人は 親切心いっぱいのつかみ所のない男・・ストレスは日々増え続けてゆく・・登場人物の意図がすれ
違うブラックコメディ・・ラストで彼は悪人として目覚め、そんな日々から解放されるのだが・・ 悪人なんて最初から存在したのか?という疑問が残るのであ
る。よく出来ている・・アルゼンチン映画は最近良いですね
ロスト・アイズ 2010スペイン 監督ギュレム・モラリス 80点
角膜移植手術を終えたばかりの全盲の女性サラの首つり死体が、自宅地下室で発見される。サラの双子の妹フリアは姉の死は自殺ではなく、他殺ではないかと疑問を感じる。フリアが調べ始めると、サラには恋人らしい男がいたことがわかる。しかし、誰もその姿を見
たことがないと口をそろえる。サラの足跡を辿るにつれ、フリアの周囲にも得体の知れない不穏な人影がチラつき始める。
ギレルモ監督が製作を手掛けているのですね。なるほど・・随所に映画好きを刺激する仕組みが施され 二転三転 執拗なまでにストーリーが展開し よく出来た作品である。見えるはずのものが見えない・・というのは見えないものが見える事より恐ろしい事なのだ。本作はホラーではなく サスペンス・・殺人の動機がありきたりだったり 無防備なのか頑固なのか多少主人公の本質のゆれが感じられのは疑問が残る。それをしても ロマンチックな描写、人間ドラマが入るあたりに 大いに好感を持つ私である。
何をするにも 良い季節に突入です!
でも・・それとともに 風邪も流行ってきました。
我が家も順番に病院のお世話になることに・・・
皆様もお気をつけて。
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コメント
こんにちは(ぺこり)。
遅くなりましたが、お誕生日おめでとー!
何を隠そう(別に隠さなくても良いのですが)、私もほぼ同世代なんです。あはは!
『戦慄の絆』公開時に観てますよー。あの強烈な赤は未だによく覚えてます、ストーリーは忘れましたが(笑)。
最近のクローネンバーグ師匠、絶不調のようで『危険なメソッド』『コズモポリス』と続いて公開されたものの、私もイマイチでした。
投稿: mina | 2013年11月 1日 (金) 18時56分
mina様
ありがとうございます!
minaさんも韓国でいう386まわり・・ですかお近づきになれたようで嬉しいです。
ベビーブーム生まれのこの世代は 学生運動が盛んだった世代と比べれば 実に平和かと思いきや 物心つく年齢には 校内暴力 受験戦争などマグマが内向き溜まっていく様な感じで 八十年代に一息ついて空虚感が漂ったかと思えば バブルでまったく違った方向に爆発しましたねー。(笑)
韓国のパワーは日本のそれよりやや遅れて波がきた感じなのでしょうか・・
386以降は 韓国映画もややテーマに行き詰った感じを受けますよね。
そういう意味でもハリウッドに 風を吹かせて欲しいものです!
三國連太郎氏が亡くなった時 「復讐・・」を再度見直してみました。エロ濃い感覚に唸ります。(笑) なるほど・・これが「殺人の・・」に繋がっているのですねーー。
また色々教えてくださいね。
風邪などひかないで・・と申しながら 風邪をひいてしまいました。また寄らせて頂きますね。
投稿: 森おばさん | 2013年11月 2日 (土) 20時24分