2013 1月映画生活 MEMO
すっかり年も明け このタイミングでどうかとは思うのですが・・
私も 一丁前に (本当に恐れ多いですが。)
去年を振り返るべく 2012映画ベスト3を ひっそりと(笑)メモっておきます。
悲しい事に ロードショーに思うように行けない私のもっぱらDVD鑑賞にて。
1・サラの鍵
2・別離
3・ヒミズ
(心を深く揺らされ長く尾を引いた理由で 洋画の 次点は メランコリア (鬱々) 邦画の次点は 海炭市叙景(しみじみ
)
今年もステキな作品に出逢える事を願ってます。
それでは!いってみよう!!!
フランケン・ウイニー 2012米 監督ティム・バートン 70点
少年ヴィクターには、いつも最高の相棒──愛犬のスパーキーがいる。ところがある日、不幸な交通事故
がスパーキーの命を奪ってしまう。唯一の親友の死を受け入れられないヴィクターは、家族にも内緒でスパーキーを生きかえらせることを決意。やがて、ヴィクターのアイデアを知った子供たちは
次々にペットや動物をよみがえらせ、街は大混乱に陥っていくのだった……。
息
子と久々のロードショー。大人にも子供にも分かりやすく キャラクターも魅力的。「化学に善悪はない。使い方によってそれはどちらにもなり得る。」という
先生の言葉は現代人としても 重い。ラスト・・親友の死を受け入れ 成長したヴィクターの言葉に涙するも 又も復活の(笑) スパーキーにやや残念な気持
ち。ティム監督らしいキモかわワールド!
孤島の王 2010ノルウェー 仏 スウェーデン ポーランド 監督 マリウス・ホルスト
80点
1915年、ノルウェーのバストイ島。この島には非行少年の矯正施設があり、と、過酷な 環境下で少年たちが暮らしていた。この島に少年 エーリングが送られてくる。お目付け役に、卒院が近い模範生のオーラヴが命じられるが、彼は 着々と脱走の準備を始め
る。
映
像から終始伝わってくる冷たさ。抑圧の下少年たちの絶望感。なかなか見ごたえのある秀作である。実話がベースとの事だが いつの時代も不条理は 横行し正
しい者が報われるとは限らない。出口のない世界の中 2人の少年の友情が際立ち救われる。派手さはないけれど 人として 最も大切なモノとは何なのかを考
えさせられた。
毎日かあさん 2011邦 監督 小林 聖太郎 70点
人気漫画家サイバラは、6歳の息子のブンジと4歳の娘フミを保育園に送り届けたと
思ったら、息つく間もなく夜まで続く仕事につく。ある日、アルコール依存症で入院中の夫のカモシダが勝手に退院してきてしまう。次第に酒の量が多くなり、妄想がひどくなるカモシダ。サイバラはとうとう彼に離婚届を渡すのだが…。
お
正月特番にて鑑賞。原作は我が家の子供たちもファンで読んでいた。日常の 笑いや切なさや 怒り。上手い具合に切り取った漫画である。完全な家族はない。
だから家族でいられると常々思う。子供エピソードは我が子を見ているようで自慢話(?)に加わりたくなる。分かってはいてもこの手の作品は 涙なしでは観
られない。
麒麟の翼 2012邦 監督 土井 裕康 70点
日
本橋にある翼を持った麒麟像の下で、青柳武明という男性が息絶えた。彼はナイフで刺された状態で8分間も歩き、わざわざその像の下までやって来て倒れたの
だ。刑事・加賀恭一郎は、青柳のそんな行動に疑問を持つ。容疑者の八島冬樹は、青柳の鞄を持って逃走している最中に車に轢かれて意識不明に
なっていた。
これは すでに推理モノではない。 ドラマ新参者を
まめに見ていた者としては なんだか妙な後味の作品だった。ドラマ時は推理モノだったんだけどな?何故なんだろう?人情モノとそのバランスの違いだと思
う。 おそらく 親子 恋人 ・・・人と人を結んでいて不確かだけどそこに確かにあるものを描きたいがゆえに そっちに傾いてしまったのだと思う。この作
品には 町並みと 笑いがなくちゃね。
ファウスト 2011露 監督アレキサンドル・ソクーロフ 70点
19世紀初頭のドイツの町。ファウスト博士は、助手と共に“魂”のありかを追い求めていた。だが“魂”は見つからず、落胆する博士に助手はある男の存在を
伝える。研究費を使い果たした博士は、人々に悪魔だとささやかれているその男─高利貸のミュラーの元を訪れる。
一
言で言うならばずっと悪夢をみているようなそんな感覚の映画 。おどろしいのに美しく高尚なのに低俗。逃げたいけど留まりたい。という矛盾する二つの感覚
が混在し圧倒される。 巨匠の何たるかを 有無を言わさず納得させられる。天才ゲーテの 全てを描きたいという世界観が画像となっても軽くなる事はなかっ
た。そもそも 人間の中のもう一人の自分「悪魔」の存在も 矛盾の極み。と、 前置きをしても 未熟な私には難解だった。(笑)
屋根裏部屋のマリアたち 2010仏 監督フィリップ・ル・ゲ 70点
1962年のパリ。証券会社を経営するジャン=ルイと妻シュザンヌは、新たにスペイン人メイドのマリアを雇う。彼らの豪奢なアパルトマンの屋根裏には、ス
ペインから出稼ぎに来た女性たちが肩寄せ合って暮らしている。未亡人との浮気を疑うシュザンヌに追い出されたジャン=ルイは屋根裏部屋で暮らし始める。
パ
リのブルジョアの暮らしも スペインの内戦 時代背景も 軽く触れられてはいるが あくまでもオーソドックスなラヴストーリーである。地位や名誉・・女房
子供 中年男の葛藤も全てふっとばしである。軽めの作品を観たいなあ・・と思った上でのチョイスだったが本当に軽かった。(笑)ジャンは超おぼっちゃまで
世間知らずの純粋オヤジという事はよく分かったけど・・・あっ。でも私はテリーもいいけどアンソニー派です。でもハックルベリー・フィン派でもあります。(わっかるかなー?笑)
ブラック ブレッド 2010スペイン 仏 監督アウグスティ・ビリャロンガ
65点
1940年代のカタルーニャ。11歳の少年アンドレウは、森の奥深くで息絶える幼なじみとその父を目の当たりにする。やがて、警察は事件を殺人と断定し、アンドレ
ウの父ファリオルを容疑者として挙げる。ファリオルが姿を消し、母親も働かねばならないことから、アンドレウは祖母の
家に引き取られることに。
ス
ペイン内戦後の閉鎖された田舎町での悲劇。 皆が生きてゆくために選択をしなければならなかったのだ。無垢な少年の両親を信じ愛する気持ちは踏みにじられ
てゆくが 良心の呵責に耐えながらも我が子のために生き そして死んでゆく父と 別れを告げる母である。少年は 過去を捨て一人で歩く決意をする。たとえ
誰かを傷つけても・・話がやや込み合って脇役の従妹の少女や 羽のある少年が生かしきれていなかった気がする。
ニーチェの馬 2011ハンガリー 仏 独 監督タル・ベーラ 80点
強風が吹き荒れる中、農夫は、馬に荷車を引かせている。彼の家は見渡す限り何もない場所にぽつんと一本の木が立つ場所にあり、彼は
娘と二人でつつましい生活を送っていた。
こんな映画観た事ない!! とにかく驚く。世界の終末六日間を実録したかのような圧倒的な映像である 尋常じゃない風の音 水がなくなり 明かりがなくなり 風すら止まり 朝がなくなる。それでも いつも通りに生活をしようとする親子。脚本がどーの 演出がどーのという一切を刀で一太刀。 脳に残る一本である。
SHAME 2011英 監督スティーブ・マックイーン 75点
ニューヨークに暮らし、仕事もスマートでソツのない独身男ブランドン。彼は、仕事以外のすべての時間をセックスに注ぎ込んで
いた。ところが、こうして確立されたシングルライフを過ごすブランド
ンのアパートに、妹のシシーが転がりこんでくる。他者の愛を渇望し、激情の塊となって生きるシシー。感情を排して生きてきたブランドン。激しく衝突する2人は、それぞれの孤独を更に深めてゆく。
セッ
クスシーンのオンパレード。何が言いたいのか分からないとの評価も多い本作。それでも私には 何か心に響くものがあった。タイトル SHAMEは恥部とい
う意味だが それはセックス依存や リストカットを繰り返す2人の事実。隠しておきたい部分ではなく 2人だけが共有する互いに対する恋愛感情のように思
えたからだ。厳密にいえば 越えられない一線というのは 人によって違う。私的に この2人は逃れたくても逃れられない感情に縛られあがき続けている。
何も求めない事と全てを求める事は似ている。 ただ2人が本当に手にしたい物は そのどちらでもない。 そして・・続いて行くのだ。
約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語 2009仏 ニュージーランド
監督 ニキ・カーロ 70点
ナポレオン統治下のフランス、ブルゴーニュ地方。若い葡萄農夫、ソブランは自分のワイナリーを持ち、最高のワインを造ることを夢見ていた。ワイン醸造家になる野心に燃えていたソブランの情熱は誰にも理解されない。悔しさ
を持て余していたある夜、ソブランの前に、白い翼をつけた天使が現れる…。
天使登場のあたりすっかりファンタジーと思いきや 人生訓示の多い男一代モノだった。人生は良い事も悪い事もあるよね。ままならない事もあるよね。でも愛する人が傍にいればそれだけで幸せだよね。という誰もが嫌いじゃない物語である。宗教観念がないせいなのか天使は羽をつけた男の子というイメージ。丹念に情景が描かれるが 作り込んだ話なので前作「クジラ・・」のような神秘的な印象はなかった。
もう少しだけ近くに 2010韓 監督 キム・チョンクァン 65点
1・閑静なカフェに見知らぬ男から電話がかかってくる。彼は言葉なく去った「アンナ」という女性を捜していると訴える。 2・ゲイの男性を新
たに恋人としたセヨン。 3・雨の中で叫び、泣く男女。 4・別の愛が
あるというヨンスの告白を聞くウンチョル。 5・チュヨンの情けない男の話に愛を感じるヘヨン。
五つの飾りなきラブストーリー。
愛の終わり 変化 予兆のような細かな気持ちの動きを かなりしつこく(笑)描く。ドラマティックな作りでなく どこにでもあるような若者の関係から 気持ちの動きを見る側に追わせる。韓国の岩井俊二との声もある若き監督の若い作品。私的にはオープニングの音楽と映像のマッチングが良かったかな?若い作品は観る側も根気がいります。
ヘルプ 心がつなぐストーリー 2011米 監督 テイト・テイラー 80点
1960
年代前半のアメリカ南部。大学を卒業したスキーターがミシシッピ州ジャクソンの町に戻ってきた。本人は結婚よりも作家になることを夢見ている。地元の新聞
社に就職したスキーターは、取材を続けるうち、自分をとりまく南部の上流社会への疑問が芽生えてくる。。黒人メイドの現実を伝える本を書きたい
と、メイドたちの証言をとるべく奔走。 大事件へと発展していくのだった……。
問
題なく正統派の秀作。 黒人問題を題材にした映画は数多いが ネガティブを排除し常に明るい色調で ユーモアを忘れない本作に勇気をもらう。ラスト 差別
主義が徹底したヒリーが メイドの言葉にひるむ場面があるが これはありえないのではないかと思う。悪意もまた根が深いという事を両サイドから語るべきな
のではないか。人生は理不尽な事が多い。向かって行く事で解決の糸口がみつかる社会であると信じたい。黒人主演女優、大きな優しさが感じられる演技、素晴
らしい!
ランダムに映画を観ていると 偶然に時代が続いて 同じ国や人の話にぶつかる。「ブラックブレッド」ではスペインの田舎 内戦直後の悲惨な情景が・・「屋根裏部屋のマリアたち」では それによって傷を負った子孫たちが明るく前向きに パリの家政婦として描かれる。過去の事として 悲しみは語られるが 人間悲しんでばかりはいられない。
震災後 家族を亡くした人たちの心中を思う。
有難い事に 今 無事にくらしている私でさえ いろんな場面で傷が痛む。どんなにか辛い気持ちだろう。
少しずつ 少しずつ 笑える日がふえてゆきますように・・ 映画の世界のように 何年後かに 明るく強く いられますように・・
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コメント
お久しぶりです!おげんきでしたか?
森お姉さまの映画評、とても面白く読ませていただいております。
鴨&西原ものには泣かされっぱなしで、映画化されると知って『がびーーーん!!』と固まってしまいました。
見る勇気が湧くまで時間がかかりそう…
でもいつかは通らねばならぬと大袈裟に考えています(笑)
投稿: sawara | 2013年1月31日 (木) 16時18分
>少しずつ 少しずつ 笑える日がふえてゆきますように
というフレーズに、何だか近頃やたら張りつめていた気持ちが
ふっと和らぐような気がしました。
あの日から時間が経てば経つほど、折に触れ亡くなった方々やご家族の悲しみが
じわじわと胸に迫ってくるようです・・。
絶対に忘れることができない出来事ですが、
それでもいつかきっと笑える日が来る・・そう思いたいですね。
ヘルプの黒人女優さん。すごい存在感ですね。
以前アカデミー賞だったか別の賞だか忘れましたが、その授賞式での
彼女の誇らしげな涙を見たとき、私はこの映画を絶対に観ようと決めたのですが
未だ鑑賞出来ずにいます;でもこちらの評を拝読して近々必ず見ようと思いました☆
投稿: wildrose | 2013年2月10日 (日) 14時59分
sawara様
ご無沙汰です!
ライブの方も 精力的にやられている様子で・・お元気そうで嬉しいです。
家族ともども 今年も宜しくお願いしますね。
ところで そうなんですよねー。最近 泣かせ演出にめっきり弱くなりました。何かで聞いたのですがこれは 脳の老化らしいです。(哀)
陳腐なものにも反応してしまいます。非常にお安い私の涙でございます。
昔は人前で涙は 負け。みたいな気持ちがあって(これはこれで馬鹿みたい 笑)映画もできれば一人で観たい人間でした。
サイバラ作品は映画化も多いっすね。女の子物語、パーマネントのばら、いけちゃんとぼく、あたりは観ましたが 毎日かあさんはどっぷりノンフィクションだし サイバラと同じ歳の私は あのやたら高揚してた時代感みたいなものが懐かしいのです。
映画って いろんな要素で腹を満たしますね。
投稿: 森おばさん | 2013年2月13日 (水) 20時26分
wildrose様
いつもそちらのブログに寄らせていただいていたのですが 久しぶりのアップとともに 娘さんのハッピー×2を知りました。
本当におめでとうございます!
生活の変化が 良いニュースで安心しました。なんか勝手に妄想してしまってすみません。でも、本当によかった・・・
もちろん 心配な気持ちはあるでしょうけど wildroseさんのお子様ならきっと大丈夫と、私は確信してますよ。
お孫さんの誕生 楽しみですねー。私も真夏に初母になったのです。あせもなどが ちょっと可愛そうな日もありましたが 成長して ちょうど季節が涼しげになる頃 しっかりとした体になるので寒さも安心できましたよ。
あー楽しみ。楽しみ。
あっ・・またまた勝手にすみませーん。(笑)
ヘルプは wildroseさん好みかもしれません。
ベースに実話が混じっているらしいけど・・実際はきっともう少し辛いエピソードも多かったはず。
でもあえて 前向きを突き進んだストーリーなので 終始 爽快です。
もやっとした気分の時 元気がもらえそうです。
映画って本当にいろんな要素で腹をみたしますね。
投稿: 森おばさん | 2013年2月13日 (水) 21時18分
森おばさま、早速押しかけました。
昨年のベスト、拝見しました。この「サラの鍵」各方面であまり評価されていないんですよね。その意味でもうれしいです。
映画ではじっくり人間の深みに入り込むような作品を見るようにしています。
エンタメもいいですが、やはりミニシアター系に惹かれます。今年もよろしくお願いします。
投稿: セント | 2013年2月15日 (金) 00時04分
セント様
うわーっ。寄っていただいて 感激です。誠に恥ずかしいですが嬉しいです。
ありがとうございます。m(_ _)m
「サラの鍵」は一人の女性目線のスタートではありますが、物語に厚みがあり 世代を越え 国境を越えスケールが広がりますよね。
そして 何よりラストがまた彼女に一番近い所に戻ってくる。という・・ぐっときました。
どんなに 壮大な時の流れも 複雑な関係も人と人が繋がることで始まるのだと気づかされる作品でありました。
私もミニシアター系に惹かれます。(笑)東京に居た頃は 丁度バブル前夜という感じで ミニシアターが沢山出来たのですが・・殆どなくなってしまいました。
セントさんのお住まいの大阪は 小作品専門の映画館など多いのでしょうね。
舞台なども沢山ご覧になっておられて 本当に素晴らしいです!!
学生の頃など そちらの方面を志しておられたのでしょうか・・?あっ。余計な事を。 すみません。おばさんはこれだから・・(笑)
ジャンルにとらわれずご覧になっている様子で 映画に対する愛を感じます。でも 意外に拾い物があったりしますね。特に割りと・・アイドル?よりの作品のレビューなど セントさんのお人柄がよく現れるような・・(笑)
こちらこそ 宜しくお願いします。
投稿: 森おばさん | 2013年2月15日 (金) 15時08分